ZoomとBlueJeansのブレイクアウトセッション機能を徹底比較
以前は打ち合わせや会議での利用が主流だったWeb会議ですが、新型コロナウイルス感染症対策により、企業においては社員研修や顧客へのウェビナー開催、教育現場では遠隔授業などにオンライン会議が利用されるようになりました。
参加者は遠隔地からの参加ということもあり、これまでのように1つの場所に集まって講義を聞いたあとに、少人数でグループを作ってワークを行って…ということがむずかしいと思われていましたが、クラウドサービスのZoomとBlueJeansに搭載されている「ブレイクアウトセッション機能」を利用することで、オンライン会議でもグループワークが可能になりました。
今回は研修やウェビナー、遠隔授業などに最適なオンライン会議の「ブレイクアウトセッション機能」に焦点を当てて、Zoom(無料アカウント)とBlueJeansのブレイクアウトセッション機能を徹底比較してみました。
【Zoom vs BlueJeans比較①】特長と仕様
まずは双方のサービスのブレイクアウトセッション機能の特長と仕様を比較してみます。
Zoomのブレイクアウトセッション機能の特長と仕様
Zoomのブレイクアウトセッション機能の特長は以下になります。
- 無料版でもブレイクアウトセッション機能は利用可能
- ブレイクアウトルームを最大50室まで作成できる
- 1つのブレイクアウトルームに参加できる人数は、会議のキャパシティに依存する
- 事前に参加者を登録できる
- 事前にブレイクアウトルールに参加者の振り分けができる
- 参加者には、完全なオーディオ、ビデオ、画面共有機能を提供
- Zoom Rooms、 H.323、SIPデバイスはブレイクアウトルームに参加できない(メインルームは可)
- 参加者の割り当ては、自動、手動のどちらも可能
- ブレイクアウトルーム間の移動を管理するのは主催者のみ
無料版でもブレイクアウトセッションは利用可能です。ブラウザからサインインし、「個人」の「設定」をクリックし、「ミーティングにて(詳細)」をクリックし、ブレイクアウトルームの項目をONにすると、自分が主催者の会議室にブレイクアウトルームを作成することができます。
ブレイクアウトルーム(メイン会議室とは別の、グループセッションを行うための小会議室)は最大で50室まで作成が可能です。
1つのブレイクアウトルームに参加できる人数は、無料アカウントの場合は会議自体の最大参加人数が100人のため、100人での振分けになりますが、大規模ミーティングのアドオンを追加することで最大参加人数が1000人まで追加でき、ブレイクアウトルームの数によって1つのルームに入室できる最大人数が変わります。
ブレイクアウトルームの数 | ブレイクアウトルームに割り当てられる参加者の最大数* |
ブレイクアウトルーム20室 | 最大500人 |
ブレイクアウトルーム30室 | 最大400人 |
ブレイクアウトルーム50室 | 最大200人 |
*記載されている最大数には、大規模ミーティングのアドオンが必要です。大規模ミーティングのアドオンがない場合、参加者の最大数は会議のキャパシティによって制限されます。
Zoomサイト:Managing breakout rooms Limitationsの項目を参照
参加者が多数であったり、あらかじめグループ分けをしている場合は、新規ミーティングの作成時もしくは自分のパーソナルミーティングルームの編集で、「ミーティングオプション」の「ブレークアウトルーム事前割り当て」にチェックを入れることで、事前に参加者を登録してブレイクアウトルームに振り分けておくことも可能です。
Zoom Rooms、 H.323、SIPデバイスは、メインルームには接続できるのですが、ブレイクアウトルームには振り分けできない仕様のため(2020年8月現在)、誰もいなくなったメインルームをこれらのデバイス用の場として利用することが推奨されています。
BlueJeansのブレイクアウトセッション機能の特長と仕様
BlueJeansのブレイクアウトセッション機能の特長は以下になります。
- アカウントユーザーはブレイクアウトセッション機能が利用可能
- ブレイクアウトルームを最大20室まで作成できる
- 参加者には、メインルームでサポートされるすべての機能が利用可能
- モデレーター(主催者)はアプリからのみ
- 参加者は、アプリ、ブラウザ、モバイル、H.323 / SIP端末、PSTN(電話機)から参加可能
- 参加者の割り当ては、自動、手動のどちらも可能
- 主催者はブレイクアウトルーム間の移動が可能
BlueJeansはアカウントユーザーで、設定でブレイクアウトセッションの利用が可になっていれば開催が可能です。主催者はPCのアプリからのみブレイクアウトセッション機能が使用できます。もし、ブレイクアウトセッション機能が表示されない場合は、設定を変更してください。(設定の変更は管理者権限を持つアカウントユーザーに依頼してください。)
また、会議室を作成時にモデレーターなしでの会議を許可している場合もブレイクアウトセッション機能が利用できないため、使用時は「モデレーターなしでミーティングを開始」の設定をOFFにしてください。
設定はブラウザからサインインして「管理者」をクリックし、一括で行う場合は「機能の管理」をクリックして「会議の機能」のなかにあるブレイクアウトセッションの項目にチェックを入れてエンタープライズのデフォルトを有効にします。ユーザーごとに設定する場合は、「管理者」の「ユーザーの管理」をクリックし、変更したいユーザーを選択して「設定と機能」をクリックし、「会議の機能」のなかにあるブレイクアウトセッションの項目にチェックを入れます。
一括で設定する場合
ユーザー個別に設定する場合
BlueJeansのブレイクアウトルームは最大で20室まで作成が可能です。2020年8月現在、BlueJeansはBLUEJEANS ENTERPRISEの場合、1つの会議室に入室できる最大数は150のため、その範囲内でのブレイクアウトルームへの振り分けを行うことができます。ブレイクアウトルームでは、映像・音声の通信、コンテンツ共有、チャット、ホワイトボード、注釈などのメインルームで利用できる機能がそのまま利用できます。
ブレイクアウトセッションは、主催者がPCのアプリで会議を行った場合のみ利用できる機能です。参加者が利用できるデバイスは、デスクトップアプリ(バージョン2.15以降)、ブラウザ(Chrome、Safari、Firefox)、モバイル(iOSアプリバージョン31以降、Androidアプリバージョン31以降)、BlueJeans Rooms、H.323/SIP対応専用機(ペアリングなし)、PSTN(ペアリングなし)です。
Zoomでは専用機などはブレイクアウトルームへの振り分けはできませんでしたが、BlueJeansは振り分けをすることができます。
- 【Zoom vs BlueJeans比較①】特長と仕様 まとめ
- ブレイクアウトルームの作成方法や振り分け方(自動・手動)など、基本的な機能はどちらも対応している
- 参加者が多いときや、事前にグループ分けをしたい場合にはZoomは使いやすい
- 参加者が専用機など多様なデバイスから参加する場合はBlueJeansが柔軟に対応可能
【Zoom vs BlueJeans比較②】ブレイクアウトセッションの操作手順
Zoomは事前登録なども可能ですが、今回は主催者が3つのブレイクアウトルームを作成し、参加者6人をそれぞれのブレイクアウトルームに自動振り分けし、メインルームへ呼び戻すまでの手順を比較してみます。
Zoomのブレイクアウトセッションの操作手順
Zoom ブレイクアウトセッションの操作手順
始めにブレイクアウトルームをまとめて作成できるので、たくさんのルームを作成するときなどは一瞬で作成できて便利だと思います。また、参加者が多い場合も自動振り分けにすることで事前に登録をしておかなくてもスムーズにブレイクアウトセッションが開催できそうです。
BlueaJeansのブレイクアウトセッションの操作手順
BlueaJeans ブレイクアウトセッションの操作手順
設定がとてもシンプルなので、必要なブレイクアウトルームを作成したらすぐにセッションが開始できます。ただ、ブレイクアウトルームの作成はまとめてではなく1つずつなので、ルーム数が多い場合は少々面倒に感じました。
テレビ会議専用機からの参加者もブレイクアウトルームに振り分けができるので、デバイスを問わずにセッションを行う場合にBlueJeansは使いやすそうです。
- 【Zoom vs BlueJeans比較②】ブレイクアウトセッションの操作手順 まとめ
- ブレイクアウトルームを作成し、参加者を自動振り分けする場合はどちらのツールも短時間でスムーズに行うことができる
- ブレイクアウトルームの作成がまとめて一度にできるので、ルーム数が多い場合はZoomが便利
- 専用機で参加した場合、Zoomはメインルームしか利用できないがBlueJeansはブレイクアウトルームに移動できるので振り分けが簡単
【Zoom vs BlueJeans比較③】開催前と開催中にできること
ブレイクアウトセッションの開催前と開催中にできることをまとめてみました。
Zoomのブレイクアウトセッションでできること
リアルタイムでのグループワークでは、疑問点があるとすぐに講師に質問することができますが、Zoomではブレイクアウトルームに参加者が主催者を招待して会話をすることができたり、ブレイクアウトセッション中に主催者が全員にメッセージをおくるなど、基本機能のほかにもグループワークを行うのに便利な機能が多くみられました。
開催前にできること
- ルームの作成・振り分け方法の選択(手動・自動)
- ルーム名の変更・削除
- 手動での参加者の割り当て
- 参加者のブレイクアウトルームの手動退出の可否設定
- 参加者が手動でメインルームに戻ることができるように設定
- ルームの終了時間を事前に設定し、時間切れ時に自分に通知させる
- ルーム終了時のカウントダウンの時間設定
開催中にできること
- 主催者はブレイクアウトルームの入退室が自由にできる
- 主催者は会議中に参加者を別のブレイクアウトルームに移動することができる
- セッション中、全員にメッセージを送ることができる
- 参加者はメインルームに手動で戻ることができる
- 参加者は主催者を自分のいるブレイクアウトルームに招待してサポートを求めることができる
BlueJeansのブレイクアウトセッションでできること
BlueJeansがブレイクアウトセッション機能をリリースしたのが2019年9月ということもあり、いまのところグループワークを行うための基本的な機能がメインです。細かな機能よりは、参加者が利用できるデバイスの豊富さに注力しているようです。メインルームを自動録画設定にしておくと、メインルームとブレイクアウトルームのセッションの録画ができるので、研修などに参加できなかったユーザーもグループワークの内容まで確認することができます。
開催前にできること
- ルームの作成
- ルーム名の変更・削除
- 手動での参加者の割り当て
- 参加者のランダムな割り当てと割り当ての解除
- メインルーム・ブレイクアウトルームの録画
開催中にできること
- 主催者はブレイクアウトルームの入退室が自由にできる
- 主催者は会議中に参加者を別のブレイクアウトルームに移動することができる
- 開催中のルームの作成・削除
- 参加者はメインルームに手動で戻ることができる
- 【Zoom vs BlueJeans比較③】開催前と開催中にできること まとめ
- ルームの作成・名称変更・削除、参加者の振り分け(自動・手動)・他ルームへの移動・呼び戻し、主催者の自由な入退室などの基本機能はどちらも対応
- Zoomは上記以外の細かな機能が充実している
- BlueJeansは基本機能がメインであるが、メインルームとブレイクアウトルームの両方の同時録画が可能
【⽐較まとめ】⼀覧表で⾒よう
オンライン会議ツールとして人気の高いZoomとBlueJeansのブレークアウトセッション機能の比較事項をまとめました。
Zoom | BlueJeans | |
特長と仕様 | 参加者が多いときや、事前にグループ分けをしたい場合にはZoomは使いやすい | 参加者が専用機など多様なデバイスから参加する場合はBlueaJeansが柔軟に対応可能 |
操作手順 | ブレイクアウトルームの作成がまとめて一度にできるので、ルーム数が多い場合はZoomが便利 | 専用機で参加した場合、Zoomはメインルームしか利用できないがBlueJeansはブレイクアウトルームに移動できるので振り分けが簡単 |
開催前と開催中にできること | Zoomは基本機能以外の細かな機能が充実している | BlueJeansは基本機能がメインであるが、メインルームとブレイクアウトルームの両方の録画が同時に可能 |
- 【⽐較まとめ】
- グループワークがメインで主催者との交流を密にしたい場合はZoomがおすすめ
- 参加者がさまざまなデバイスから参加する場合はBlueJeansがおすすめ
ブレークアウトセッションはコミュニケーションツールの機能のひとつです。これらの機能のほかにも各ツールにはさまざまな機能や特性があります。
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