Web会議入門 第一回
Web会議とテレビ会議、コーデックから違いを検証
コーデックとは?
テレビ会議もWeb会議も、自拠点の映像と音声を接続先に送るために、映像はカメラ等の映像機器から、音声はマイク等の音声機器からデータを取り込みます。
そして取り込んだ映像・音声データをエンコード(符号化)して接続先のシステムに送ります。
接続先のシステムは、送られてきたデータをデコード(復号)して送り手の映像と音声を受け取ります。このやり取りを双方で行ってはじめてビジュアルコミュニケーションが成り立ちます。
これら映像・音声データの受け渡し機能を担っているのがコーデックです。
テレビ会議システムのコーデックはハードウェアコーデックと呼ばれ、エンコード・デコード作業を専門の集積回路で行います。
Web会議システムのコーデックはソフトウェアコーデックと呼ばれ、ソフトウェアでエンコード・デコード作業を行います。
ハードウェアコーデックとソフトウェアコーデックの特長やメリットデメリットを比較してみます。
ソフトウェアコーデック | ハードウェアコーデック | |
---|---|---|
特長 | CPUによる画像・音声処理 CPUの性能に依存、CPUのスピードが上ったことにより品質が改善 |
専用のDSPによる画像・音声処理 処理能力が高く、高品位で安定したデータの処理が可能 |
製品タイプ | PCタイプ Web会議、PC会議 |
テレビ会議・ビデオ会議 ・セットトップタイプ ・ルームタイプ ・デスクトップタイプ ・電話タイプ |
使用用途 | デスクトップ 一人ずつ多地点の打ち合わせ |
会議室 グループ対グループの会議(テレビ電話を除く) |
メリット | 価格が安い、手軽に使うことが出来る、ホワイトボードなどのアプリケーション共有が可能、モバイル対応 | 安定性が高い、操作が簡単、起動が早い、壊れにくい、ウィルスに感染しない、エコーキャンセラーやリップシンクなどテレビ会議用途に最適化されている |
デメリット | CPUの性能に依存。個人で使用するため、グループで使用する場合は拡張が必要 | 価格が高い、機器に汎用性がない |
Web会議の仕組み
Web会議の接続形態は、PCからソフトウェアコーデックを動作させて、サーバーへログインしてから接続先と映像や音声のデータをやり取りを行う、サーバー&クライアント型です。
一方テレビ会議の接続形態は、サーバーを経由せずに相手と直接接続するP to P (Point to Point)です。 Web会議では、サーバーが接続の管理を行い、クライアントから送信されてきた映像・音声データを必要な相手先へ振り分けて配信しています。その際サーバーでは、映像・音声の処理は行わず、データの配信のみを行っています。画面を分割した時は分割数に応じたストリームがサーバーとクライアント間に発生します。
Web会議に必要なものは
まずはじめにパソコンにWeb会議のソフトウェアをインストールします。インストールスタイルは製品によって異なり、専用のソフトウェアをインストールする場合と、ブラウザのプラグインとしてインストールする場合があります。
次にカメラと音声機器を用意します。パソコンとUSBで接続できるWebカメラや場合によってはパソコンに付随しているカメラを利用します。音声はヘッドセット(ヘッドフォンとマイクが一体になったもの)や、エコーキャンセラー内蔵のマイクとスピーカーが一体になったスピーカーフォンを利用します。数名で1台のPCを利用したWeb会議を行うときは、参加者全員で音声を共有できるスピーカーフォンを利用すると良いでしょう。
Web会議の標準規格とは?
Web会議はテレビ会議のようにコーデック同士で直接接続を行わないので、テレビ会議で定められるような標準規格(H.323など)は特にありません。
- Web会議入門
- 【第一回】Web会議とテレビ会議、コーデックから違いを検証
- 【第二回】オンプレミス(SI型)とクラウド(ASP型)の比較
- 【第三回】資料共有機能の違いから見るテレビ会議とWeb会議